暮らしに活かすアーユルヴェーダ -ジッセン編-

アーユルヴェーダが教えてくれる、快適な秋の過ごし方

夏の暑さが緩み、秋の訪れを感じられる気候になってきました。
秋は、読書の秋・食欲の秋・スポーツの秋と、色々な楽しみを満喫したくなりますが、一方で季節の変わり目というところで、体調を崩しやすい時期でもあります。

そこで今回は、アーユルヴェーダにおける季節の考え方に基づいて、秋を快適に過ごす方法をご紹介したいと思います。
秋に増えやすくなるドーシャやそれを調整する方法、食生活や様々なライフスタイルのヒントなどを解説していますので、これからの暮らしに少し取り入れてみてはいかがでしょうか?

アーユルヴェーダにおける“秋”の考え方とは?


アーユルヴェーダでは、秋のことを「sarada(シャラダ)※」といいます。
 風土が異なる日本ではインドの秋とは少し趣も異なりますが、根底の基本は同じ、夏の暑さが残りつつも、乾いた冷たい冬に向けて気候が移り変わる境目の時期といえます。
アーユルヴェーダでは、季節を太陽の位置で観ていくという考え方があります。
今のような、太陽が一番高い夏至から、一番低い冬至にかけての時期を南回帰と捉え「太陽のダクシナーヤナ」と呼びます。
南回帰が進むにつれて日差しは弱まり、月の冷却作用が強くなっていきます。

また、地上では大地が水分を含み、人の体力も夏の暑さから回復してくるため、この半年は「Releasing(=放出)の時期」と呼ばれたりもします。
※インドの季節における秋のことを指します。

●秋に増えやすいドーシャ
ただ、インドと日本では気候や風土が異なるため、季節の過ごし方を考える際には少し応用やアレンジが必要です。
ドーシャについても、秋はピッタ・ヴァータの時期なのですが、日本では、初秋と晩秋で多少変わってきます。
夏の終わりから10月半ば頃までの初秋は、夏のピッタがまだ優勢になりやすい時期であり、ピッタの性質である、熱・鋭・滑が残っています。
その後、10月半ばからの晩秋は、ヴァータが加わってくる時期です。
ピッタの熱を残しつつ、徐々にヴァータの性質である乾・冷といった様相が増えてきます。

●デトックスのススメ
アーユルヴェーダでは、夏から秋にかけてをデトックス(解毒)に適した時期としています。
夏の間に溜め込んだ熱を排出することで、冬に向けて身体と整えられるとされています。
解毒法として本場では、パンチャカルマの中では「冩下法」(ヴィレーチャナ)と「瀉血法」(ラクタモークシャ)が勧められていますが、一般のお家では実施が難しいため、消化がよく水分の多い食材を摂ったり、身体を冷ます水泳などを行い、身体や心に溜まっている余分なもの取り除くよう意識しましょう。クレイを使ったお顔・背骨パックなどもオススメです。

アーユルヴェーダから学ぶ、秋に取り入れたいライフスタイル

 
ここからは、秋を快適に過ごすためのライフスタイルのヒントを初秋・晩秋に分けてご紹介します。
 
【初秋(夏の終わり~10月半ば):ピッタ優勢時期】
・夏のピッタを溜め込むと、ピッタが悪化して赤い発疹が出たり胃腸症状が出やすくなります。
・刺激物や辛いものの摂取は控えて、休息を十分に取るようにしましょう。
・身体に熱が溜まりやすいと感じている人は、秋が深まる前にピッタの解毒を行うようにしましょう。
・まだ火が増えやすいので、激しい運動や炎天下での運動は避けましょう
・山の爽やかな空気を吸ったり、森林浴を楽しむのに最適です。
 
【晩秋(10月半ば~):ヴァータ優勢時期】
・空が高くなって涼しくなり、食欲が戻ってきます。
・夏・初秋のピッタが残りつつ、ヴァータが増え始める時期なので身体の状態に合わせて調整する必要があります。
・元々ヴァータ体質の人は、早々にその影響を受けやすく冷えや乾燥で体調を崩したり風邪を引きやすくなります。
・ヴァータの性質である「軽さ」を調整するために、「重さ」の象徴であるオイル、特に良質な植物性オイルを取り入れるとよいでしょう。
・太陽の光を積極的に浴びたり、衣服や運動、食事で身体を温めましょう。

その他、秋を快適に過ごすための生活のヒント~お肌のケア・ファッション・休暇~

 
●秋のお肌ケア
初秋は、ピッタ・ヴァータの症状として乾燥性皮膚炎、つまり乾燥と炎症が同時発生する状態になりやすいです。
これはヴァータが起点となりピッタを煽っているので、まずはヴァータを調整する温め・循環・規則正しさを意識した生活を行うことが大切となります。
 
晩秋は、よりヴァータが増えやすくなります。
アーユルヴェーダ5元素でいう「風」の力が強くなりお肌が乾燥してきます。
夏よりも、油分・水分による保湿を増やしましょう。
顔だけでなく、かかとや髪の保湿も必要になってきます。
 
●秋のファッション
ピッタを調整するには、ブルーやグリーン、ヴァータを調整させるには、パステルカラーやピンクのカラーを意識してファッションに取り入れてみましょう。
 
シルク素材の洋服をルームウェアや靴下に取り入れるのもオススメ、シルクは、蚕のタンパク質でできた天然繊維で美容や健康に良いと言われています。
 
●秋の休暇
インドの古典書によると、秋の水は最も健康に良いとされています。
水が「夏の強い日光で温められ、月光で冷やされ、時の経過で熟され、アガスティア星(カノープス)によって毒を抜かれている」と言われています。
 
最近は、新型コロナウイルスで外出しづらい状況ですが、できる限り密な場所を避けて紅葉が美しい山へ出かけましょう。
名水のある場所に立ち寄り、秋の味覚に舌鼓をうつというのも、この季節ならではの、素敵な休日の過ごし方かもしれませんね。
 

アーユルヴェーダの考え方に基づいた秋の食生活

 
秋のドーシャである、ピッタ・ヴァータを調整する上で最も積極的に取り入れたいのが、「甘み」、次に「苦味」「渋み」です。
甘みといっても、いわゆる人工甘味料の甘みではなく、食材そのものが持っている甘みのことで、アーユルヴェーダ5元素でいう「地」の要素を持っているものが当てはまります。
 
インドでは、甘みとしてローズ水、苦味の代表としてはニーム茶などが飲まれています。
反対に、「酸味」「塩味」「辛味」の強い食べ物は、ピッタを強めてしまうので、控えたいですね。
 
ここからは、オススメの日本の秋の食材をいくつかご紹介します。
 
【かぼちゃ】
ビタミンやミネラルなど栄養が豊富で、自然な糖分がピッタ・ヴァータを調整してくれるかぼちゃは
昔から完全食として重宝されてきました。
 
【さつまいも】
ビタミンCは風邪の予防に最適です。
また、皮に含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種で抗酸化作用があるため、出来る限り
皮のまま頂くのがオススメです。    
 
【里芋】
タンパク質と糖質が結合した粘性物質が含まれており、長寿食と言われています。
また、塩分の排出に効果的な「カリウム」や、認知症・物忘れの予防が期待されている「ガラクタン」が
豊富なのもポイントです。
里芋に含まれる成分を誤ってムチンと表記しておりましたが、ムチンは、「動物より分泌される粘着物一般を示すもの」でした。
訂正してお詫び申し上げます。

 
【きのこ類】
きのこ類は高タンパク・高脂質・低カロリーなので、食欲が増しやすいこの時期に最適な食材です。
また、食物繊維が豊富なので、体内な余分な脂肪を排出するのにも役立ちます。
食物繊維は、ピッタ・ヴァータのバランスを調整するのにも効果的です。
 
【ギー】
ギーとは、溶かしたバターから水分やタンパク質などの余分な成分を取り除いてできる
純粋なバターオイルのこと、ピッタを鎮めるのに効果的です。
栄養化が高く、コレステロールが上がりにくいと言われています。
 
炒めものを作る際のオイルとして、また蒸し野菜のソースとして取り入れてみてはいかがでしょうか?
 
●食事の摂り方についての注意点
食欲の秋と言われる通り、涼しさが戻りたくさん食べたくなる季節です。
しかし、急に食べ過ぎると身体に負担がかかりアグニ(=消化力)が低下しますので注意しましょう。
秋にかけて甘みが増す大根などを組み合わせて消化を促すのもオススメです。
 

まとめ

 
今回は、アーユルヴェーダの「リトウチャリヤー(=季節に応じた過ごし方)」を元に、日本での秋の快適な過ごし方について解説しました。
●秋は、ピッタ・ヴァータが優勢になりやすい季節ですが、日本ではその割合が初秋・晩秋では変わります。
●秋は解毒に適した時期です。
●初秋では、夏のピッタで増えた熱を放出することを意識しましょう。晩秋では冬のヴァータに向けて乾燥や冷えをケアし始めましょう。
●食生活では、甘み・苦味・渋みという味覚、そして「地」の要素がある日本の食材を取り入れましょう。
 

ただ、お一人お一人体質や増えやすいドーシャというのは異なります。
上記の内容は、アドバイスの一つと捉え、ご自身のその時の体調や年齢、生活環境に合わせてアレンジしてください。
皆様が、笑顔溢れる爽やかな秋を過ごせますように…


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