はじめてのアーユルヴェーダ -キホン編-

アーユルヴェーダは現存する医学の中では最も古い伝統医学

ホリスティックビューティーが注目されるようになり、ますます身近な存在になったアーユルヴェーダ。

エステやスパなどでマッサージとしてご存じの方も、日常生活に積極的に取り入れている方もいらっしゃるかもしれません。アーユルヴェーダを本格的に取り入れている方も多い一方で、なんとなく健康によさそう、リラックスできそうなど、漠然としたイメージの方も多いはず。
アーユルヴェーダがなぜ健康によいとされるのか、どうしてここまで注目されるようになったのか、その理由や奥深さを知ることで、効果はもっと確かなものに変わるはず。
今回は、そもそもアーユルヴェーダとは一体何なのでしょうか。少し深堀をしていきたいと思います。
といってもとても奥が深いので、そのほんの入り口を覗いてみるという特集です。

アーユルヴェーダの起源

アーユルヴェーダは今から約5000年も昔にインドで生まれた伝統医学。伝統医学とは、現在の医学が発達するもっと以前から存在する、医学の総称で、漢方医学、ユナニ医学、チベット医学。そしてアーユルヴェーダが世界四大伝統医学と言われています。
この中でもアーユルヴェーダは現存する医学の中では最も古い医学です。

その起源は諸説ありますが、古代インドのリシと呼ばれる人たちが考えたという説が有力。リシとは悟りを開き世俗を離れ、山中で瞑想をしていた聖者のこと。彼らが病気に苦しんでいる人を救いたいと願ったとき、瞑想の中で与えられた叡智がアーユルヴェーダだと伝えられています。その後、アーユルヴェーダはアジア諸国に伝えられ、中国、タイ、インドネシアなどに浸透していきました。
一説ではタイ式マッサージは、アーユルヴェーダの名医であったお釈迦さまの主治医が、インドからタイに伝えたとも言われています。

アーユルヴェーダの衰退と発展

インドではアーユルヴェーダが医学の主流でしたが、1800年代の後半にイギリスの植民地になると次第に西洋医学が広まり、20世紀の初頭からは古い民間療法と考えられて衰退したという歴史があります。
しかし、インド独立後には再び研究や教育や推奨されるようになり、インドやスリランカでは西洋医学と並んで認知され、現在インドの病院では急性の場合は西洋医学、傷みの緩和や予防にはアーユルヴェーダと、症状に合わせて選ぶこともできるようになっています。
また、1970年代以降は先進諸国で東洋の様々な療法が注目されるようになり、現在欧米ではアーユルヴェーダを代替医療のひとつとして用いる医療機関もあり、慢性疾患や生活習慣病などの治療を補うものとして取り入れらており、その効果が科学的に証明されているものも増えてきているのだそうです。
またアーユルヴェーダの治療は、患者にただ薬を手渡すだけでなく、浄化や食事の指導をしたり個々に合わせた運動や精神療法を勧めたりもします。さらには病気にかかりにくい体づくりといった、予防医学の考え方も含んでいるため、ホリスティック医学が注目されるようになりましたえ。今、自然とアーユルヴェーダにも注目が集まるようになったと言えます。

ドーシャの理論とは?

アーユルヴェーダは、生命(アーユス)の科学(ヴェーダ)という意味を持ち、病気の治療だけでなく、病気の予防や健康の維持、若返りなどトータルで健康な体を目指す“科学”でもあります。
人が本来持っている体質(性質)を活かしながら、心身のバランスを取って生きてくことの重要性を説いており、この心身のバランスを整えるために用いられるのが、ドーシャの理論です。

アーユルヴェーダでは、存在する全てのものは、5つのエネルギーからできていると考え、具体的には地、水、火、風、空で、五元素と呼ばれ、人体もこれら五元素が組み合わさってできていると考えます。
この5つのエネルギーから2つの組み合わせて人間や様々な自然現象を3つのタイプに分類したものが、トリ・ドーシャと呼ばれるもの。「トリ」はサンスクリット語で「3」、ドーシャは「増えすぎたもの」を意味し、ドーシャのバランスが乱れると、病気や不調を引き起こすと言われており、これがアーユルヴェーダの基本概念となっています。
アーユルヴェーダでは、この崩れたバランスを取るために浄化療法や鎮静療法などの治療が施されたり、日常生活や食生活において様々提案がされています。ハーブが調合される薬が処方されたり、体質に合った食事法を取り入れたり、薬草油を使ってマッサージを行ったり。
この中でリラクゼーション効果の高いものが、日本などでエステに取り入れられています。

デトックスや若返りの考え方は実はアーユルヴェーダが由来。

また、ヘッドマッサージやベビーマッサージ、シャンプーという言葉のルーツもアーユルヴェーダにあると言われています。
このように、知らないうちに身近なところでアーユルヴェーダの考え方が取り入れられているのです。5000年も前に発祥した最古の医学アーユルヴェーダは、治療を主体にした医学の枠にとどまらず、心と体のバランスを整える知恵として、現代の生活にしっかり根ざしています。

コラム

アーユルヴェーダの名医は お釈迦様の主治医だった!?
お釈迦様が生まれたのは、今から2500年前の紀元前。29歳で出家し35歳で悟りを開いたと言われています。
実はそのときに病気にかかったとされており、それを治療したのが、ジーヴァカ&というお釈迦様の主治医。
彼はアーユルヴェーダの歴史上、最も優れていたと言われる名医で、晩年痔瘻に悩まされたお釈迦様に、クシャラスートラという痔瘻の手術を施したことでも知られています。
実はこのクシャラスートラという治療法は現在まで続いており、日本の大学病院でも研究され、効果も立証されている治療法なのです。

仏教とともに日本にも伝来、 聖徳太子も実践した!?
アーユルヴェーダが日本に伝わったのはごく最近だと思われがちですが、実はずっと昔、仏教伝来の頃にまでさかのぼります。仏教とともに日本に伝わり、後に摂政となった聖徳太子は仏教を政治に取り入れるとともに、アーユルヴェーダをはじめとする様々な医学も日本に取り入れたと言われています。
聖徳太子ゆかりの法隆寺や正倉院にはアーユルヴェーダで使用された醍醐(今の乳製品)などが残されていたりと、実はアーユルヴェーダは日本人にとって、ゆかりがあるものなのです。

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