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アーユルヴェーダの油「ギー」とは?作り方と効果、料理やマッサージなどの活用法まで教えます!


アーユルヴェーダの毒出し油「ギー」とは?

インドには古くから伝わる「ギー」という油があります。食用に用いるバターオイルの一種です。無塩バターからすべての不純物を除いた純粋な油で、保存性のよさが特徴です。アーユルヴェーダでは、油の中で最も優れたものとされ、長く大切にされてきました。アーユルヴェーダでは「記憶力、知力、消化力、精力、オージャス(活力)を増やし、毒素、錯乱、疲労、不幸、発熱を取り除く、最も優れた油」といわれるほどの、まさにパーフェクトな油。調理用として炒め物やスープ、お菓子作りなどに使ったり、また外傷、にきびなどの外用薬、天然保湿クリームとして使用したり、目薬として使うなど幅広い用途があります。
 
その含有成分は、β-カロチン(抗酸化作用)、飽和脂肪酸(安定した脂質)、リノール酸、オレイン酸などの必須脂肪酸など。化学的にも優れた油であることが証明されています。今回は、そんなギーの作り方や効果、さまざまな用途を一挙紹介します。
 

ギーの効果は無数!と言われますが、代表的な7つの効果を紹介します。

1.ダイエット
ギーには、中鎖脂肪酸など脂肪を燃焼サポートする成分を含むとされる効果が認められています。ダイエット中の料理には、ギーを使うのがおすすめです。他の油のようにコレステロールを上げないと言われており、また蓄積した脂肪を分解したり、燃焼させる働きがある共役リノール酸が豊富に含まれています。共役リノール酸は、体内ではほとんど作られない成分なため、日常的なギーの使用は、ダイエットサポートになります。
いくら健康に良いからと言って、取りすぎると血中脂質を増加させます。過剰な摂取は控えましょう。とくにカパ体質およびカパが多くなっている時は、一日の使用量を、大さじ1杯に控えてみましょう。
 
2.食欲増進
ギーに含まれる短鎖脂肪酸は、消化器官の粘膜を刺激し、水分やミネラルなど栄養の吸収を促進します。したがってアグニ(消化力)を燃え立たせ、食べものの味をおいしくとされています。不純物の入っていない、純良な食欲増進剤としても使えます。
 
3.解毒
解毒剤的な役割を担うギーは、アーユルヴェーダの浄化法の前段階に使用し、慢性の発熱、貧血、血液異常を軽減させ解毒薬として使われることがあります。朝、大さじ一杯のギーを下剤的な働きに使用することがあります。
 
4.ドライアイ
30度前後に湯煎したギーに目を浸らすネートラ・タルパナと言われる方法があります。ただしこれは、目の感染などトラブルの原因になる可能性があるので、医療行為となります。自宅で手軽に行えるのがギーをスポイントに入れて数滴垂らす目薬としての使用です。ドライアイに効果的です。
 
5.便秘解消
ギーは、乳製品由来のオイルです。乳製品に含まれる酪酸が、腸内環境の改善に役立つとされています。またギーに含まれる短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を改善する働きがあります。大腸の粘膜を刺激して、便通を良くする効果が期待できるとされます。
 
6.アンチエイジング
ギーには、老化や動脈硬化を防ぐ抗酸化作用のあるビタミンAとビタミンEが多く含まれています。アンチエイジングには欠かすことができないビタミンです。
 
7.その他の効果
オージャス(活力のもと)を高め、生殖組織を含む体のあらゆる組織を強化する強壮作用があります。また知性、理解力、記憶力を高める効果や、顔色や声を良くする効果など多岐にわたっています。さらに食物の味を良くして、消化を促進させるなどの効果もあるとされる油です。
 
※ただし、これらの効果には個人差があります。かならず、使い方を間違えないように気をつけましょう。また、何か問題が起こったときなどは、すぐに医師へと相談してください。
 

おうちでお手軽に作れる!ギーの作り方


ギーは、市販もされていますが、自宅で簡単に作ることができます。ここではギーの作り方を紹介します。
 
準備するもの
  • 無塩バター 200g
  • 焦げにくいステンレス性の深鍋
  • 竹べら及びスパチュラ
  • ペーパータオル
  • 保存のためのガラス瓶

4つの工程で簡単!ギーを作る手順
  1. 無塩バター200gを、鍋に入れ弱火でゆっくりと溶かす。無塩バターが、溶けたら中火にして水分を飛ばしていきます。泡が出始めます。
  2. だんだん大きい泡がブクブク立ってきます。(温度は100~110度程度)泡が縮み、細かくなって、香ばしい匂いがただよってきたらできあがり。(120度程度)
  3. 火を止め、すばやく鍋を火からおろします。さらに、熱いうちにこし器、またはザルの上にペーパータオルを引き、出来上がったギーを濾していきます。
  4. 小さめのガラス瓶に小分けにして保存します。
作るときの注意点
ギーを作るのにとても重要なのが火加減です。初めは焦げないように、火加減を調整し、弱火にします。途中で泡を取りたくなっても黙ってみていましょう。そこで泡を取ってしまうと、できあがりの量が減ってします。作ったギーは冷蔵庫で6か月程度保存が可能です。また、カパが増えている場合は、ギーは重さの質を増やしやすいため、一日の使用量は、大さじ一杯を目安に、控えめにしましょう。
 
「豆知識!本場インドでのギーの作り方」
インドのギーの作り方には二種類あります。一つはミルクを沸かした後ヨーグルトの種を加え翌日出来上がったヨーグルトを攪拌機で攪拌しギーを作ります。もう一つの方法はミルクを熱して表面に浮いたマライを集めて加熱してギーを作ります。市販のギーも販売されていますが、不純物が入っている場合もあります。手作りか、信頼のできる販売先の商品を買い求めるようにしてください。
 

【効能別】ギーのさまざまな活用法

アーユルヴェ-ダでは、ギーの効能について「ヴァータ体質の人、ピッタ体質の人、ヴァータとピッタ性の病気の人、視力を強くしたい人、ケガをした人、やせた人、老人、子ども、体力のない人、子どもをほしがっている人、若々しさを求めている人、消化力、活力、記憶力、知恵、燃焼力、理性、感覚機能の力を求めている人、灼熱感、外傷、火傷によって苦しんでいる人によい」といわれています。
(「チャラカ・サンヒター」第1巻 第13章41~43)。
 
とにかくすごい。これを見るだけでも、ギーには非常に多くの効能があることがわかります。
 

ドライアイ・充血に!「ネートラ・タルパナ」

目はピッタに関係する臓器の一つです。そのため、ピッタのもつ火の性質で炎症が起こりやすいとされます。ギーは、冷性の性質を持つため炎症を取り除くといわれています。

手順と効果
目の乾燥症状、ドライアイなどにおすすめなのが、ネートラ・タルパナと呼ばれる治療法です。ほかにも、記憶力の増進や視力の向上、容姿が美しくなるなど、至れり尽くせりの効果が期待できます。やり方は、ギーを30度前後に湯せんして、眼を1~3分程度浸すだけ。終了後30分程度は眼がゴロゴロしますが、その後はとてもすっきりします。点眼でも効果が期待できます。
 
ネートラ・タルパナの準備品
① ギー30cc程度を入れた容器(ガラスなど。素材は問わない)
② お湯を張ったボール(湯煎のため)
③ 調理用温度計(37度の温度を図るため)
④ 強力粉50g程度と水(強力粉に水をゆっくり少しずつ混ぜながら、耳たぶ程度の柔らかさになるまでこねる)
 
詳しいやり方
ネートラ・タルパナは医療行為となるため、ここでは、家庭療法としてのやり方をお知らせします。ネートラ・タルパナを行うには、介助者が一人必要です。受ける側は、床かベッドなどに横たわり、天井などの照明を消し、部屋の明るさを間接照明にして、直接受け手が、目に強い光が当たらないように注意が必要です。

*一般のセラピールームなどでは施術自体が禁止されていますので、注意してください。
 
ネートラ・タルパナの手順
① ギー30cc程度を、37度前後に湯せんします。
② 強力粉に水を混ぜながら、耳たぶ程度の固さに練ったものを用意します。
③ 小麦粉で練った生地を伸ばし、ドーナツ状にして目の周りに、土手のような囲いを作ります。このとき、目じりのほうにギーが流れやすいので、少し広めにぴったり皮膚に張り付けます。
④ 温めたギーを、だいたい大さじ4~5杯程度を、ていねいに小麦粉で作った土手状の中に注ぎます。小麦粉の土手に囲われて、ギーがプールのように溜まります。
⑤ 受け手は、始め目を閉じ、徐々に瞼を開けて、ギーのプールの中で、眼球を回したり瞼を閉じたり開けたりしながら、約3分程度浸します。
⑥ その後ティッシュでギー-を吸い取り、目の周りを軽くふいて、土手を外したら終了。
⑦ 受け手は施術後30分程度は光を直視したり日差しを見ないように注意が必要です。
 
※一人でできる簡単ギー点眼のやり方
ギーを数的点眼するか目じりにつけるだけでも効果的です。
 
ネートラ・タルパナの注意点
ネートラ・タルパナは、アーユルヴェーダの治療法として大変ユニークなものですが、そのやり方には様々な注意点があります。
 
・ギーの点眼の温度
30度程度が理想です。それ以上熱くならないようにくれぐれも注意しましょう。
 
・ギーの点眼後
ネートラ・タルパナだけでなく、ギーを点眼した後は30分程度は光や照明に注意します。ゆっくり暗い部屋で目を休めるようにします。
 
*施術として受けるとき
ネートラ・タルパナは医療行為ですので、医者から処方されたところのみで受けることが可能です。
一般のセラピールームなどでは施術自体が禁止されていますので、注意してください。
 

外用薬にぴったり!「ターメリックギー」

ターメリックギーの作り方
ターメリックギーとは、ギーにターメリックを混ぜ合わせたものです。胃の不調時に茶さじ1杯を飲むことをオススメします。それだけではなく、皮疹や傷などの外用薬としても使えます。
 
材料
ギー 200cc
ターメリック 大さじ1
 
作り方
① お湯を張った鍋に、耐熱ガラスに入れたギーを湯せんし、溶かします。
② ターメリックを加え、よくかきまぜながら30分程度湯せんします。
③ 熱いうちにクッキングペーパーなどでろ過して完成。
 
注意点
ターメリックギーは、衣類につくと取れにくいので注意してください。
 

「薬用ギー」も胃もたれにオススメ

薬用ギーの作り方
ギーが食べにくい方や、胃腸にもたれる場合に、ショウガの味で食べやすくなり、また消化を軽くする働きを持つのが、薬用ギーです。
 
材料
ギー 200cc
薄くスライスしたショウガ 1カップ
コリアンダーシード 大さじ1
ターメリック 大さじ1
水 4カップ
 
作り方
① ショウガのスライス1カップ、コリアンダーシードとターメリック各大さじ1を4カップの水に入れます。水が蒸発して、1カップになるまで中火で煮詰めます。
② 煮詰まった①をこし器でこし、鍋に1カップのギーとこした①を入れ、水分がなくなるまで中火で煮詰め、出来上がった量は、1カップ。
③ 完全に煮詰まると、全体の濁りが取れ、濃い黄金色のギーが出来上がります。こしきでこして湯剤飲用やお料理に使用します。
 
注意点
ネートラ・タルパナには、刺激が強く、使用できません。
 

便秘におすすめ!「ミルクギー」

温めたミルクに大さじ1杯のギーを入れていただくものをミルクギーと呼びます。
夜の一杯のミルクギーで、ヴァータの過剰が原因の便秘の悩みを持っている方々に、効果と結果を出してきた優れものです。眠さや体の重さ、やる気が出ないような状態は、カパが過剰になっています。そのようなときは、夜のミルクギーは控えたほうがよいでしょう。カパがより増えて、体の切れがなくなり、体と心を重くしてしまう可能性も。
 
また、昨今では、ミルクに対して賛否両論があります。たとえば、ミルクを飲む人と、前立腺がんや子宮がんを発症する人が比例している、という報告も増えています。食養法として知られているマクロビオティックでは、牛乳を勧めていません。
 
アーユルヴェーダでは、牛乳は「サットヴァ」(純粋な質)といわれ、最高級の食品とされています。またアーユルヴェーダでは、牛乳はサットヴァな食品だが肉、魚、卵、酸味の強い果物、酵母パンなどとの食べ合わせは、アーマ(未消化物)を生成するきっかけとなるため、注意が必要としています。ガンの発症との関係や、難しい食べ合わせなどを考慮すると、一概に最高な食品と鵜呑みにせず、牛乳の使用を考慮することも大切です。そこでお勧めできるのは、牛乳の代用に豆乳を使用することなども考えられます。
 

古典書から見るギーの効能

ギーは、古典書において以下のように記録されております。
 
“記憶力、知力、消化力、精力、オージャス(活力素)、カパ、脂肪を増大させ、ヴァータ、ピッタ、毒物、錯乱、疲労、不幸、発熱を除去し、すべての油脂類の中で最も優れている。”
 
“ギーの味(ラサ)は甘味、潜在力(ヴィパーカ)は冷性、消化後の味(ヴィールヤ)は無数である。ギーは用い方によっては無数の効果をあげることができる。”
 
“ギーは、ヴァータ体質の人、ピッタ体質の人、ヴァータ性とピッタ性の病気の人、視力を強くしたいと望んでいる人、怪我をした人、やせた人、老人、子供、体力のない人、寿命を延ばしたいと望んでいる人、太りたい人、子供を欲している人、若々しさを求めている人、消化力・活力・記憶力・知恵・燃焼力・理性・感覚機能の力を高めようとしている人、灼熱感・外傷・やけどによって苦しんでいる人によい。”
 
以上のように、アーユルヴェーダでは古くからギーを使用してきたことわかります。
 
 

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