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はじめてのアーユルヴェーダ -キホン編-

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「お肌は食べた物から作られる」アーユルヴェーダから見る食事と肌の関係

アーユルヴェーダは人をホリスティック(総合的)に見る世界最古の医学です。現在ではライフスタイルを提案する予防医学的な役割を担っています。
今回はアーユルヴェーダの総合的観点から肌と食の関係についてお伝えしていきます。

皮膚について

皮膚は、広大な表面積を持ち、その下の臓器を保護し、さらには気温や湿度、放熱、微生物などの侵入などの外因的な因子の変化や影響に対して調整及び適合する役割を果たします。またアーユルヴェーダでは皮膚と内臓は「ちくわの構造」という表現を使い皮膚は一枚の皮のように内臓まで一体であると考えています。
つまり食したものは消化の過程で消化分解しながら、皮膚を構造していくとされます。そのた身体をアンナマーヤコーシャ(食物の鞘とも呼び)そのため皮膚は貴方が食べたのものからできるとみなされます。
また胎生学的には、表皮、毛包、脂腺、汗腺は外胚葉から、また真皮は中胚葉から発生していきているため、筋肉組織に有益な食物は皮膚にも大変有効である、と考えられています。
アーユルヴェーダでは、皮膚は食べ物を消化していく過程でできるラサダートウ(乳糜)から得られる栄養物を継続的に供給しようとしている器官であるととらえています。

理想的なラサダートウは主にプラージャカピッタと呼ばれる皮膚に存在する酵素様物質に大きく関係します。そこからもアーユルヴェーダは食が皮膚の組成と大きく関わると考えていることがうかがわれます。
また皮膚は触覚器官と捉えられ触覚、熱感、冷感、圧迫感などを知覚し、皮膚組織は豊富な神経網が張り巡らされているため皮膚はヴァータ(自然を5つのエレメント地・水・火・風・空で構成されているとし、ヴァータは風のエネルギーが優勢の状態を言います。)にも関係します。

感覚刺激を抑制、伝達し、反対運動の機能に関わるとされています)また体毛は皮下組織や真皮に存在する血管から栄養を受け、体毛の一部は骨の組織、血管より皮膚に運ばれた身体組織の老廃物から派生します。
アーユルヴェーダの歴史は5千年とも言われます。その長い歴史の中で食と皮膚の関係を大切にしてきていると考えられます。

アーユルヴェーダが説く理想の皮膚

理想的な皮膚は適度な油性をもち、滑らかで柔らかく、薄く、光沢がありキラキラして小さな深い毛包を持つ体毛を有していると思われています。
またアーユルヴェーダの外科医として著名なスシュルタという方がまとめたとされる『スシュルタサンヒター』に、説かれている健康の定義に、「肌に艶がある」ことが挙げられていることも特出すべきことです。昔から私たちの文化でも人の顔色をみて体調を見極めていたりします。肌は健康の鏡ともいえるのでしょう。
理想的な皮膚を作るためにアーユルヴェーダでは外からのケアのみではなく、体液の正常、血液、筋肉組織、神経組織、プラージャカピッタ(皮膚の酵素)が理想的に働く必要があると考えます。

消化と皮膚の関係

前述したプラージャカピッタいわゆる皮膚の酵素が理想的に働くことが理想のつやと弾力のある皮膚につながると考えています。
この理論を少し掘り下げて説明していきます。アーユルヴェーダでは、消化力のことをアグニと呼びます。胃の中にある消化液などがアグニに相当します。現代の言葉にアグニを置き換えると酵素活性といえ、アグニとは酵素にその作用を与えるエネルギーとも呼べるでしょう。
さらにこの酵素活性アグニは13種類あります。その13種のアグニが順調に働くと健康に、しかし不調でアグニの働きが弱いと病気を引き起こし、もちろん肌にもくすみをはじめとした不調を感じるようになります。

最近ではアーユルヴェーダの体質論が強調され過ぎて、これは私は食べてはいけないもの、など食材に神経質になりすぎる傾向がありますが、大切なことはもっと自分の内からの正しい欲求の声が聞こえるようになることではないでしょうか。あまりに外の情報ばかりでは、やがては様々な異なる情報にふりまされ、結果は体調を崩すことにもなってしまうと思われます。

ここでご紹介するのは肌に良い食べ物は、その人の今の体調や心の状態に大きく関係しているということです。
それを踏まえて以下の表を参考にしてみてください。

理想の皮膚のために有益なものと有害なもの

  皮膚に有益なこと 皮膚に有害なこと
穀類 米、小麦、大麦 -
豆類 レンズマメ、ヒヨコマメ -
乳製品 - ヨーグルト
果物 ザクロ、乾燥ブドウ、旬の物 -
野菜 苦味を持つ野菜 -
葉菜 ニガウリ -
肉類 乾燥地帯に生息する動物の肉、魚肉(水分を含むため) 水の豊富な土地に住む動物の肉、魚肉(カニ、エビなど)
脂肪 ギー、バター ごま油を初めとした オメガ6脂肪酸系の取りすぎ
その他 アルコール
砂糖類 はちみつ ジャム
スパイス コショウ、ショウガ、長コショウ(ピパリ)、ナツメグ、サフラン、ニンニク、シナモン 唐辛子(皮膚に炎症がある等火の過剰時にはより増加させる可能性がある)
食の性質 軽い食事(消化力に見合った食事量・腹八分目) 重い食事、過食、食べ合わせの良くないもの(牛乳と酸味、塩、辛味など)
行為 入浴、休息 昼寝、過剰な運動、太陽熱にさらされること
精神的因子 精神のコントロールをはかり心の安定 怒り、悲しみ
上記の肌に良い食べ物と悪い食べ物はいかがでしたか?お好きな食べ物が悪いリストにあったとしても過剰な取りすぎに注意と捉えてください。
さらに食事と肌との強い関係に迫っていきましょう。

食事をいただくときの心がけたいことで、9つの法則。

まずは正しい食事の仕方をすることと自分にとって正しい食事を選ぶことが基本です。その基本を踏まえたうえでの9つの法則です。
1:食事をいただくことで満足感や軽快感を感じる(不満や重量感になっていませんか)
2:食べることに集中する(いわゆる「ながら食べ」をしないで一つ一つを良く味わう)
3:規則正しい食事の時間
4:適量をいただく(胃の中に空間を残すいわゆる腹8分目で5つのエレメントが働きやすくなるため)
5:今現在の不調や過剰なものをバランスする食べ物を選ぶ(春なら重さや湿り気から来るだるさをバランスする苦みのある山菜など)
6:消化促進剤を知る(ショウガ、薬味などをうまく取り入れる)
7:身土不二(住んでいる土地の物をいただく)
8:食べ合わせを知る(熱いものと冷たいもの、牛乳と魚や肉フルーツなどの食べ合わせを避ける)
9:食べ合わせることで食事の毒性を減らすことができるものとアグニを高める食品をいただく。


今は食事に関して様々な食事療法が提唱されています。マクロビオティック、ビーガン(完全菜食)糖質制限や断糖食(動物性食品の摂取)小麦と乳製品制限食、断食療法など。
アーユルヴェーダの食事療法は、季節や体質、体調によって適切な食事は異なることを知り、6つの味(甘・塩・酸・辛・渋・苦)をまんべんなくいただき、土地の物を食べ上記の9つの法則に則り、食材選びなどがストレスにならないようにおいしくいただくことが大切と考えます。

ただし、食べ合わせは少し大切にしてみてください。例えば牛乳。塩や魚、果物と一緒に頂くことで酸によって凝乳ができます。たとえばミルクティーですが、紅茶のポリフェノールなどが牛乳のカゼインで凝集させられポリフェノールの健康効果がなくなってしまい、またアグニを障害して、アーマを作って腸内細菌叢の異常を起こすと推定されています。

AGEs(Advanced Glycation End Products)終末糖化産物はブドウ糖や果糖がタンパク質に非酵素的に結合することで体内に発生し、タンパク質を凝集させ血管内皮細胞を障害し老化を促します。はちみつも100度で30分加熱するとAGEsが8倍程度生成されることから、加熱したはちみつは体内の組織を閉塞してアーマと呼ばれる毒素になると考えています。
そのような毒素を増やさないように注意する食べ方が身体の組織を活かし体内を活性し敷いては健康な皮膚を作ると考えています。
 

理想の皮膚と皮膚の組成を阻害するもの

アーユルヴェーダでは食事はどのような良質のものを摂取したとしても個人のアグニ(火の機能や代謝力、酵素の働きなど)との関わりが最も大事であると考えています。

もしも個人が食べた物を十分に消化できないほどのアグニの力がない場合アーマと言われる分解されないままの老廃物や消化しきれない未消化のものが体内の様々な管につまり閉塞してしまいそれがまた病気の原因ともなるとアーユルヴェーダでは考えこのアーマをためないようなライフスタイルまたは溜まった場合の浄化法などが治療の根本となります。もしもアグニの機能が正常でアーマが蓄積しない心身は健康とされています。

オハイオ州立大学教授シャルマらは、変性LDL(活性酸素などにより変性したLow Desity Lipoprotein:コレステロールを血液中で運搬し動脈内膜内へも運び込むタンパク質)がアーマの概念と近いものと述べています。この変性LDLが引き起こす動脈硬化とアーマによるスロータス(体内の管)の閉塞とは大変似た状態と考えることができます。

さらに高血糖も老化を速めると言われます。血糖が高くなるとグリコースが非酵素的にタンパク質とランダムに結合し最終産物であるAGEs(Advanced glycosylation endproducts)と呼ばれる黄褐色の栄光物質が非可逆的に形成され、コラーゲンなどの架橋を形成し蓄積し組織を障害し、その結果の一つとしてコラーゲンの架橋の増加が皮膚のしわの原因とも考えれています。現代の用語をアーユルヴェーダ的に翻訳するとこれらの変性LDLやAGEsなどがアーマに相当しているとも考えられるというのがアーユルヴェーダと現代医学の融合を実践されている上馬場医学博士の説です。

つまり、良質な食事とは個人の消化力に見合ったものである必要があります。どのように素晴らしい食材でも調理の仕方やいただく時間帯やその個人の体調によって重すぎて体内に蓄積されることになると肌の状態に反映し外からのケアでは間に合わないとアーユルヴェーダでは考えています。

アグニと皮膚の関係


アグニが異常の場合、下記の症状が挙げられます。
・胸やけや酸っぱいものがこみあげてくる
・食後胃のあたりに違和感や不快感を感じる
・食事の時間になってもお腹がすかない
・体重が増えすぎる場合か痩せてくる
・これらの症状に伴い皮膚のつやがなく目の力がなくなってくる

アグニバランスが取れている状態は、顔色が輝き、目が光り消化力が強く便秘も下痢もない、食べ物をおいしくいただくことができます。
 

アーユルヴェーダと食

アーユルヴェーダでは前述しているようにアグニとの関係が大切にされているので、個人、体質、季節、時間、感情なども重要な要素となります。

アーユルヴェーダの体質論と肌の質

アーユルヴェーダではこの地球上の生きとし生ける者たちは同じ5つの元素からできていると考える五元素論をベースとしています。
五元素とは地・水・火・風・空です。

地はすべての物質の形、構造物、皮膚の構造。
水は体液全体、肌の潤い。
火は消化器系で働く代謝と酵素の働き、皮膚のつや。
風は神経の刺激による知覚や中枢神経系の活動、皮膚のターンオーバー。
空は人体内で筋肉の収縮、伸展と収縮などです。
水は液体の状態では流れ変化しすべてのものに潤いと湿り気を与えますが、火によって過熱されると蒸発し風の元素として空間に消えていきます。
この五元素の循環と組成が食事から補うことができ健康な皮膚を作り上げていくと考えられています。

アグニと肌の関係とライフスタイル

白湯を飲む健康法としても知られるアーユルヴェーダ。
実はこの簡単なライフスタイルが前述していますアーマが溜まりにくい身体に貢献しているのです。
そのため朝歯を磨きできれば舌もタングスクレーバー(舌かき専用の名称)で掃除をした後、白湯をコップ一杯飲むことで便通や冷え症の改善を感じた方が数多くいます。さらにはこの簡単なライフスタオルが肌の調子を良好にさせ艶もよい健康的な皮膚になったという意見が数多くあります。

アーユルヴェーダから見た皮膚と食の関係についての結論

以上お伝えしてきたようにアーユルヴェーダは小さな部分にも全体が反映するというホログラフィーの理論と通じます。

今日いただくお食事はまさに貴方の大切なそのお肌を輝かすのか、くすめてしまうのか、それは今のあなたの食との関係性を大切にまるでお食事とコミュニケーションを図るように心を込めたお食事を心を込めてやさしくいただくことこそが明日の美しい肌を作る秘訣です。 今日もおいしくいただき美しいお肌を楽しんでください。

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