暮らしに活かすアーユルヴェーダ -ジッセン編-

アーユルヴェーダ花粉症軽減術

アーユルヴェーダから見る花粉症、大切なのはカパを増やさないライフスタイル

アーユルヴェーダの古典書に、花粉症らしき記載は見当たりません。ところがアーユルヴェーダの古典書は、「病名がわからくても心配はいらない、3つのドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)について理解していれば治療ができる」と、しています。

花粉症の症状をみると、鼻水、微熱感、目のかゆみ、くしゃみなどが代表的です。

これらの症状は、カパ(地と水のエネルギー)の過剰から起こると考えられます。またさらに日本では、花粉症の症状が出るのは多くが春の季節です。そのため、アーユルヴェーダの花粉症ケアは、カパを増やさないライフスタイルが決め手となっていきます。

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花粉症のつらい症状を軽減するケア法「3点マッサージ」&「点鼻法」

カパを増やさないライフスタイルで、つらい花粉症の症状を軽減していきましょう。まずは、アレルギー症状のある人は、毎朝の3点マッサージと点鼻法がおすすめです。
 
3点マッサージは、白ゴマ油をキュアリング(100~110度まで加熱させる)したもので、頭、耳、足裏にオイルをすりこみ、その後温かいお風呂に入ります。
点鼻法は、上記の白ゴマ油をスポイトに入れて数滴鼻腔に垂らすというものです。

”3点マッサージは、季節のデトックスを実践する【春:新月のデトックスクラス】で行います”
『徹底デトックス 季節の実践】の内容詳細
 

その他のアーユルヴェーダ的花粉症軽減法

花粉症を軽減するケア法
① 夕食は、早めに、あっさりして温かい物をいただく。
② 乳製品を極力控える。
③ 適度の運動を行う。朝晩の散歩やヨガの太陽礼拝など。ヨガのウサギのポーズは、副鼻腔などの気道のつまりが取れやすくなり、結果として、頭痛や鼻つまりの緩和に効果が期待できるものです。
④ スパイスを活用してみる。
⑤ 鼻うがいとオイル点鼻を行ってみる。
⑥ 朝の乾布摩擦 絹の布で朝、着替える際に毛の生える方向と逆に、早めに手を動かす皮膚摩擦で、体の湿り気と冷えをとっていきましょう。
⑦ 苦み辛味の食材をとるようにします。春の旬の素材、山菜類を湯がく、蒸すなどして積極的にいただいてみましょう。
苦味はカパを減らす食材です。また少し苦みのある日本茶もよいですが、食後すぐの水分は、カパが増えるので注意しましょう。辛味のものは、スパイスをうまく取り入れることです。例えば、ジンジャーのパウダーとターメリックを同量混ぜたものを、白湯に入れて飲むこともおすすめできます。
⑧ アーユルヴェーダスパイスをとってみる。トリカトウと呼ばれるスパイス。原料は、ジンジャーのパウダーとブラックペパーのパウダーとピパリ(和名は、フィファチおよびヒバチ)を同量混ぜ合わせたものを呼びます。この調合した3つのスパイスを白湯に入れて飲んだり、料理にかけたり使用してみます。カパを減らすには大変効果的で、消化力が上がります。

これらは重さと冷えのカパを軽減することにつながります。そのためカパから引き起こされやすい花粉症の症状が軽減しやすくなります。その他、花粉症には、ユーカリやペパーミントのアロマもおすすめです。ティッシュに落として胸元に入れてみたり、部屋に香らせるなどしてみることも良いでしょう。さらに、以下のこともできればやってみましょう。
 

朝の温冷浴

  1. やり方は、41度から42度のお湯を張ったお風呂に体が温まるまで浸かります。
  2. その後水のシャワーをひざ下にかけます。再度1分程度お湯に浸かります。
  3. 今度は腰から下に水シャワーを浴びます。再度1分程度お湯に浸かります。
  4. 今度は胸から下に水のシャワーを浴びます。再度1分程度お湯に浸かります。
  5. 最後は肩から下、および可能な方は頭から全身に水シャワーを浴びて、その後よく乾いたタオルで体をふき終了となります。
この方法は春先から始めてください。初めての方は、真冬からはスタートしないように注意してくさい。この方法で、花粉の症状が軽減する方が多くいらっしゃいます。
 

花粉症を悪化させることを知り極力注意してみましょう

① ヨーグルトやチーズなどの乳製品を夜食べること。
重さと粘り気の質をもつこれらの食材は、カパを悪化させます。
 
② チョコレート、ケーキ類、クッキーなどを食べること。
チョコレートは、最近ポリフェノールなど注目されていますが、花粉症の症状には、重く、甘く、油分があるためカパを増やしていくものです。同様にケーキ、クッキーなどのスイーツの食べ過ぎも、粉症の症状を悪化させる要因が潜んでいます。
 
③ 高カロリーの食事、油モノなど、消化に重い食事を特に夜食べること。
アーユルヴェーダでは、夜は消化力が落ちるとしています。できるだけ温かく消化にやさしいものをいただくようにしましょう。
 
④ 冷たい物をとりすぎること。
冷たいものは、消化の力を下げてしまうとアーユルヴェーダでは考えています。夜のフルーツも昼間より体を冷やすと考えられます。いただくとすれば昼間に食べることが大切です。このようにアーユルヴェーダでは、タイミングも重要と考えています。
 
⑤ 食べあわせの悪いものをとること。
温かい物をいただきながら冷たいビールを飲むようなことも食べ合わせが悪いことです。さらにアーユルヴェーダでは、ミルクと肉、魚、卵、フルーツなどは食べ合わせが悪いとされています。これによってAGEs(エージス:終末糖化生成物と呼ばれ、様々な活性酸素による細胞障害を加速するとされているもの)を作り出し、体にいわゆるアーマ(未消化物)を増やすとされています。
 
⑥ 夜更かし
体のリズムを狂わせるようなライフスタイルは、自然の体のリズムを結果として崩していきます。可能な限り夜は早く寝て、朝は早めに起きるライフスタイルに切り替えてみましょう。

”花粉症など春に起きやすい不調にアプローチする食のクラス”
【アーユルヴェーダ∞ドーシャフード】の内容詳細
 

花粉症を軽減するヨーガ

ウサギのポーズ
後頭部を広げ、肩甲骨や骨盤の緊張をとり、体を春に適応しやすくします。冬の間、寒さで委縮させていた体がゆるみやすくするのに効果的です。
 
太陽礼拝のポーズ
連続して行うものを朝繰り返して行うこともおすすめです。火の呼吸法は、体の代謝をあげて湿り気と重くなったカパを減らすのに有効です。やり方は、いたって簡単です。片手を下腹部にあてがいます。息を吐くたびに鼻から空気をフンと出しながら、あてがっている下腹部がへこむようにします。そして息を吸うのは吐くから自然に入るといったタイミングで可能な限り素早いリズムで行います。
 
大切なことは、ただ吐くこと、吸うのは自然に入ってくるとしてみましょう。2、3分を1セットとして無理のないように気づいたときに行うようにしてみます。
 

花粉症とカパドーシャの関係

花粉症の症状は、鼻水など粘液物の過剰な分泌や頭の重さ、気分が進まなくなるなど、アーユルヴェーダの用語に翻訳すると、重さ、湿り気、粘り気はカパの症状です。そのため特に春の花粉症には、カパを増やさないライフスタイルが勧められます。運動すること、冷やさないこと、食べ過ぎないことなどがポイントとなります。さらに、重さは体だけではなく気持ちにも左右します。気分を明るく楽しませるような工夫も大切です。例えば、リズミカルな音楽をかけることもよいでしょう。また色においては、水の代謝を上げて気分を明るくするとされている色(オレンジ)を身に着けたり、オレンジ色の花を飾ってみたりすることも有効です。とくに食事などもカパの食事を参考にしてみてください。
 

花粉症と季節と時間の関係

日本での花粉症の発症は、断然春が多いです。春はカパの季節と、アーユルヴェーダでは考えます。三寒四温、まさに自然界では雪が解け、たまっていた冷えと重さが溶け出してぬかるんでくる季節です。人間も自然の摂理に従って、同様の現象が起こります。

またアーユルヴェーダでは、一日の時間にもカパの時間があるとしています。それは朝6時から10時と、夜も同様に6時から10時です。同じカパの時間でも朝と夜のカパの影響は、別物です。朝は、目覚めを良くして、重さと湿り気のカパを減らし代謝を上げるようにすることが大切です。そのため朝寝坊や朝のやる気のなさは朝のカパをさらに増長させ、一日切れの悪い体を作ることになります。
 
春の朝は、冬より少しだけ早めに起きて体のウォーミングアップが必要になります。また夜のカパは、食べ過ぎると途端にカパを増長させ、朝のカパの重さをさらに増やすことになります。
 

花粉症を乗り越えて素敵な春を送るコツ

春は、卒業式、入学式と何かと行事がある季節です。気分を欝々させていては、春の始まりに取り残されてしまいます。春の木々など、自然界にみずみずしさを与える水の元素の凍り付きを溶かし、流れる循環する水の力を味方にしましょう。
 

花粉症の歴史

19世紀初めのころ、イギリスで「Hay Fever」と呼ばれた症候群がありました。
枯れたイネ科の牧草を扱うと、目にかゆみが出たり、くしゃみ、鼻水、喉のかゆみ、咳、微熱などの症状が起こりました。これを枯草が原因だろうということで、枯草熱、つまり「Hay Fever」と呼びました。その後20世紀になり、アレルギーという概念が打ち立てられるのは20世紀に入ってからです。枯草熱は、花粉によることが多く、アメリカでは、ブタクサ、ヨーロッパではイネ科の植物。日本では多いものがスギ花粉です。もともと杉は、育てやすく、成長が早く、建材資材としてのニーズが高いため、戦後の日本では積極的に造林を進めました。杉の花粉は、高度成長の負の遺産とも言われます。
このように鼻アレルギーや花粉症の背景には、高度成長が大きく関わっていると考えられます。

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