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アーユルヴェーダで風邪を撃退する10の方法!頭痛、咳、痰、のどの痛みなど、症状別の対処法も教えます。

どうして風邪を引くの?アーユルヴェーダで考える原因

今回のテーマは、風邪(かぜ)を引いてしまったときの過ごし方や対処法について。
一般的には風邪は、「風邪症候群」といって、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こし、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳(せき)、たん、発熱などの症状を引き起こすといわれています。

ですが、アーユルヴェーダの考え方では、原因はそれだけではありません。風邪はアーマ(=体内の毒素)の蓄積からも引き起こされると考えます。ほかにも、頭の使いすぎ、疲労、食べすぎによる胃腸の負担も、気をつけたいポイント。身体のかたよりが蓄積していく段階で、風邪という症状となってあらわれるのです。

また、発熱は一種の生体防御反応ともいわれています。人体はあえて体温を高めることで免疫力をあげていると考えるのです。さらに、ドーシャによって風邪症状が異なりますのでドーシャ別の対応をお伝えしていきます。

風邪は4つのタイプに分けられます

アーユルヴェーダでは、増悪しているドーシャに応じて、風邪を4つのタイプに分類しています。

1.ヴァータ・タイプの風邪
ヴァータが増悪して起こす風邪。全身のだるさと激しい頭痛をともなうのが特徴です。
気を張り詰めてちょっと緩んだ矢先に風邪をひくことがあります。それはヴァータの蓄積をすこしでも緩和しようという体の知恵から起こっています。神経の使い過ぎ、疲労や消耗から体力をなくした症状や乾いた咳、ふしぶしの痛み、背中の硬直などが起こりやすいのが特徴。

2.ピッタ・タイプの風邪
ピッタが増悪して起こす風邪。目の使い過ぎや食べ過ぎなどを体が発熱や下痢などで解毒しようという症状を引き起こします。鼻づまりや鼻腔内の灼熱感、乾いたくしゃみ、胃腸の不調などが出やすいのが特徴。

3.カパ・タイプの風邪
カパが増悪して起こる風邪。食べ過ぎやいろいろなことをため込んだものを緩ませようとくしゃみや鼻水などで浄化しようとさせる症状が起こります。そのため鼻水、鼻づまり、のどのつまり、体の重さなどを引き起こし、風邪によって蓄積している重さや停滞を出そうと鼻水などを頻繁に出し、涙目になり、頭もずしりと重くなってくるのが特徴。

4.サンニパーティカ・タイプの風邪
3つのドーシャが増悪して起こる、複合タイプの風邪。最も重症な風邪です。発熱など、症状が重くなりがちな特徴があります。日本でも「風邪は万病のもと」とも言います。このタイプの風邪は様々な症状をその後引き起こす可能性があるので十分に気をつけなくてはならないものです。

特に重要なのは、たかぶったヴァータを鎮めること!

前項では、風邪を4つのタイプに分類しました。しかし、すべてに共通して対処しなければならないのは、「ヴァータを鎮めること」です。
ヴァータはほかのドーシャを導く、一番重要なドーシャ。ヴァータが増悪しているところに、アーマ(未消化物)の蓄積やスロータス(通路)の閉塞なども加わると、ひどい場合、3つのドーシャが乱れて、サンニパーティカ・タイプの症状が出てきます。
そのため、大切なのはヴァータを鎮めること。治療の原則は、ヴァータの持つ性質である「軽性」「動性」「冷性」「乾燥性」「不規則性」と反対の性質の生活を心がけることです。

ヴァータを鎮め、風邪を回復させる10の方法

それでは実際に、ヴァータを鎮めるための行動にはどんなものがあるのでしょうか。ここでは、おすすめの10の方法を紹介します。

1.休息を十分にとる
一番大切なのは、胃腸を休めること。「風邪を引いたら栄養摂取!」とばかりに食べすぎないようにします。アグニが弱っている場合が多いため、食事を軽くしたり、ときには抜くことで、アグニを立て直しましょう。
また、仕事や約束をできる限り減らし、なるべく休息できる環境を作りましょう。

2.身体をしっかりあたためる
身体を外気から守るように保温を心がけます。白湯やあたたかい飲みものを摂取し、首などを冷やさないようタオルを巻くのもよいでしょう。
就寝前の足湯もおすすめです。40℃程度のお湯に20分前後、両足を入れます。少なくともひざ下数センチまではお湯につかる深さの容器を使ってください。温度が冷えないようにさし湯をしながら、上半身やももが冷えないようにかけものをして保温しましょう。
風邪を引くと身体がこわばるので、あたためてやわらげるのです。

3.絶食あるいは、食事量を減らす
アーユルヴェーダでは、風邪は「アグニ(火のエネルギー=消化力・代謝力)」の低下からも起こると考えています。体調が万全でない場合は食事を抜くか、あたたかいスープのようなものだけを食べるのがよいでしょう。

4.ビタミンCをとる
ビタミンCは抗ヒスタミン効果(風邪の症状をやわらげる)があるとされています。また、細胞同士を結びつけるコラーゲンの生成を助ける働きがあるため、のどや鼻の粘膜を強くし、風邪の侵入を防ぐともいわれます。陳皮と言われるみかんの皮などをお湯に入れて飲んだり、お風呂に入れるのもおすすめです。温熱作用が高まると考えられます。

……ただし、最近の研究では、ビタミンCが風邪をひかない事にはそれほど効果がないともいわれています。

5.うがいをする
ヴァータを緩和するうがいはなんといっても「ガンドウーシャ(オイルを使ったうがい)」です。
やり方は、あらかじめキュアリングしたごま油(太白ごま油及び純正ごま油を105~110℃まであたためておいたもの)を10ccほど口に含み、数分間、口の中でくちゅくちゅしてから吐きだすだけ。口腔内の洗浄を行えます。また、お湯に塩とショウガを少量入れてうがいをするのもよいです。

6.ホットタオルや、ショウガをあたためたショウガ湿布を使う
手軽にできておすすめなのは、首筋や鼻にホットタオルをあてること。筋肉のこわばりや冷えを緩和し、スロータス(=体内の管・通路)の通りをよくします。また、胸・腰などにあらかじめオイルを適量ぬり、そこに練からし程度のやわらかさに溶いたショウガをガーゼに乗せてシップすると、あたため効果とスロータスの通りをうながす手助けになります。
ただし、かゆみを感じたら、即座にショウガのシップを外すようにしてください。

7.消化の火を高める食べものをとる
消化の火を高める食材には、しょうが、「トリカトゥ(しょうがと黒コショウ、フィファチ=別名長コショウの3つを同量混ぜたもの)」などがあります。風邪の初期症状におすすめなのは、アグニを高めるものや、アグニを立て直す断食などです。また、生のにんにく2片をいただくのも、アグニを高める手助けになり、風邪をはやめに通過させることに役立ちます。

8.お湯にショウガやユーカリの精油を入れて、湯気を吸う
ユーカリやショウガには、アーユルヴェーダ的に、カパやアーマを減少させる作用があります。さらに、現代医学的にも、抗ウイルス作用や抗菌作用があります。特に蒸気にして吸引すれば、気道にひそむウイルスや細菌などから、身体を守る働きをしてくれます。ただし、人によっては、気道に刺激を与えることもありますので、注意して行いましょう。

9.風邪を撃退する、とっておきドリンクを飲む
風邪をはやめに撃退するには、ヴァータやアーマに対処することが大切です。そのため、アーマを消化できるスパイス「トリカトゥ」を使ったドリンクは効果てきめん。
ショウガ、黒こしょう、フィファチ=別名長こしょうを同量混ぜたスパイスが「トリカトゥ」。そこに、はちみつを小さじ1/4程度加え、適量のぬるめのお湯を入れて飲みます。

ほかにも、ショウガ湯や、ショウガとはちみつにレモンを等量ずつ加えたドリンクなどもおすすめ。実際、医学的にもショウガの風邪への効果は確認されています。

インドの家庭のポピュラーな風邪処方は、ターメリック入りのあたたかいミルク。ターメリック自体には、抗菌作用や抗炎症作用、抗酸化作用、肝保護作用などがあります。

10.ターメリック足浴で身体をぽかぽかに
発熱がみられるときは、足浴がおすすめ。42℃ほどのお湯に、おろしたショウガ、またはターメリックを入れ、20分程度足浴をしましょう。ぬるくなったら、お湯を足します。終了後は、あたたかい布団で休んでください。
足浴は、中国の伝統医学や、西洋の風邪に対する伝統的治療として、古くからよく利用されてきました。

症状別セルフケア方法 咳・痰・のどの痛みを対処する

アーユルヴェーダで考える咳・痰の原因
アーユルヴェーダでは、咳やのどの痛みなどの呼吸器疾患は、カパのバランスが乱れることで起きると考えられます。また、軽いのどの痛みが繰り返し起きるときは、免疫力の低下が考えられます。
食事においては、カパを増やす甘味、酸味、塩味は控えるようにしましょう。反対に、辛味、苦味、渋味は、カパの働きをおさえるため有効です。

ただし、黄色い痰だけは例外です!
黄色みを帯びた痰には要注意。感染や炎症などの悪化で、ピッタが増大したことを意味しています。また、アーマが蓄積するにつれて、痰が粘っこくなってきます。

対処方法と注意点
このときのセルフケア方法は、風邪の治療とほとんど同じ。ただし、長期的に続くようであれば、肺ガンや肺結核ということもありえますので、1週間以上は家庭療法を継続しないでください。また、たばこによる空気の汚染が原因となっていることもよくありますので、禁煙は必須。ターメリックは、カパを減らすだけではなく、ピッタも減らしますので、黄色い痰が出る状態にもよいスパイスです。

症状別セルフケア方法 つらい頭痛を対処する

頭痛にも4つのタイプがあります
頭痛が起きるのは、風邪のときに限りません。アーユルヴェーダでは、風邪だけではなく、頭痛も4つのタイプに分類して考えます。

1.ヴァータ・タイプの頭痛の対処法
筋肉の緊張によって起きる頭痛。冷えや不安から起こり、後頭部を中心にズキズキとした痛みが持続するのが特徴です。体の緊張を緩めるような軽い運動で背骨の周りのこわばりなどもほぐすと風の通過が早いです。

ヴァータが乱れているため、鎮静化する必要があります。効果的なのは、オイルマッサージ。とりわけ頭のマルママッサージは速効性が見込める場合が多いです。シローダーラーだけでも効果がありますが、セルフケア法として、ナツメグ粉のペーストをあたためて額などに塗ると、さらに効果が高まるでしょう。

2.ピッタ・タイプの頭痛の対処法
側頭部がズキズキと痛む、片頭痛の症状がみられるのはピッタ・タイプの頭痛。
対処法としておすすめなのは、白檀粉を水で練ったクーリングペーストを使ったオイルマッサージです。また、目の疲れが原因になっている場合も多いため、しっかりと目を休めることが大切です。

汗はそのままにせず必ず乾いたタオルで吹き、寝ている間でも汗をかいたら汗をぬぐいパジャマの着替えをこまめにしましょう。

3.カパ・タイプの頭痛の対処法
一日中、家でじっとしているときなどに、頭や身体が重くなることはありませんか? それは典型的なカパ・タイプの頭痛です。
対処法としては、ユーカリの精油をスチームして浴びたあとに、ショウガ粉を水で練ったウォーミングペーストでマッサージするのがよいでしょう。

4.アーマ・タイプの頭痛の対処法
アーマ・タイプの頭痛の場合、頻繁かつ不規則な頭痛に悩まされます。日ごろから蓄積したアーマが原因です。アーマを撃退し、毒出しを行うアーマパーチャナが必要でしょう。

頭痛を治す近道は、規則正しい生活と睡眠
タイプごとの対処法ももちろんですが、頭痛を改善するには、睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を送ることが欠かせません。ストレスも悪化の要因となり得るので、リラックスできる時間を多く作って。コーヒーなどのカフェインは、控えるようにしましょう。

風邪は大病の前触れかも。医師の力も借りましょう

今回は、セルフケアを中心とした風邪の対処法をお話しました。
しかし、簡単な風邪と思っていたら、重大な病気の前触れだったというケースも、まれですが存在します。
なにか症状が出てからの家庭療法には限界があります。少しでも心配に思ったら、すぐに医師のもとを訪れましょう。今回紹介したようなセルフケアを実践する場合は、毎日の養生法として取り入れるのが、実は最も理想的です。

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